みなさんランニングの期分けについて考えたことはありますか?
1年中同じ練習で固定してはないでしょうか。
それでも良いのですが、世界的に有名な指導者である、リディアード氏、ダニエルズ氏の本には期分けについてこれでもかってくらい細かく記載してあります。
〈これらの本に関してはこちらで紹介していますのでぜひ参考にしていただきたいと思います。〉
今回は期分けついて書いてみます。
ランニングの期分けとは
マラソンや5000mのタイムの上昇を狙うためには、基礎のジョグ、ペース走で閾値、インターバルで最大酸素摂取量、ダッシュでスピードの強化といった、あらゆる面の強化が必要です。
ランニングの期分けとは、それらを1週間の中で、今日は閾値、明日は最大酸素摂取量、明後日はスピードといったごちゃ混ぜな練習をせず、閾値の練習でしたらそれに特化して練習するといった具合です。
ピラミッドを考えてほしい。
1番大きな下の部分に基礎があり、その上に、スタミナ、スピードと1つずつ積み上げていく感じです。
人間は、あれもこれも色々な刺激を1度に吸収することは難しい。
それだとどれも中途半端に終わってしまいます。
それならば1つ1つしっかり吸収させるために1つの刺激だけを体に入れてあげようというものが期分けの狙いです。
具体的な期分けの流れ
①基礎的なジョグで土台の基礎を作る
基礎的なジョグとは、ゆっくり長く走り込むことである。
ゆっくり長く走り込むことで、毛細血管、ミトコンドリアの増加、また、走るための1番基礎の部分を鍛えます。
野球で言ったらキャッチボール部分。
キャッチボールなくしては、成長は望めないことと同じです。
ジョグのペース設定
ジョグのペースは問わず、ゆっくり長くストレスの感じない範囲で走りましょう。
必要期間
初心者の方でしたら、この段階を2.3ヶ月取っていただいた方が良いです。
今後の競技力の差として必ず現れてきます。
普段から走っている方でしたら、この期間は飛ばすもしくは1ヶ月程度で良いでしょう。
②強化ジョグであらゆる面の基礎の強化
①の基礎のジョグが終わりましたら、その次は強化ジョグで本格的なスピード練習をスムーズにこなせるためにさらに基礎の上積みをしてあげます。
この部分が私が口酸っぱく言っている部分です。
海外の有名な指導者が勧めるジョグのペースが速いのもこのためです。
〈詳しくはこちらの基礎固めの本質の記事をお読みください。〉
ペース設定
この時期のジョグはとにかく速いジョグを心がけます。
ペースで言いますと、
5000m20分の方でしたら
・1キロあたり4分00秒ペースですので、
この4分00秒ペースから、30秒から60秒落とした間のペース4分30秒~5分00秒の間で行ってあげます。
・5000m15分00秒が持ちタイムの人でしたら3分30秒~4分00秒の間でジョグを行なってあげる
といった具合です。
必要期間
2ヶ月ほどを目安にしてください。
この期間は長ければ長いほど良いです。
後々の成果が変わってきます。
③スピードを出力させる回路の設計
ここでいうスピードとは、インターバルのようなスピードではなく、
今まで基礎で積み上げてきた中に眠っているスピードを呼び覚ますための刺激入れです。
インターバルのような1000m5本のようなトレーニングではなく、
短い距離を速く走る動きを取り入れ、スピードを出すための回路を作り出しましょう。
後々のペース走、インターバルのペースに余裕を感じることができるでしょう。
〈詳しくは、こちらの記事の最大出力を上げるスピードの部分を参照ください。〉
長距離におけるスピードについて(インターバルはスピード練習ではない!)
ペース設定
ここでは、1500mのペースを想定します。
わからない人は1000mのペースよりほんの少し遅いとお考えください。
そのペースで短く速い動きを繰り返します。
200m10本、400m5本といった具合です。
レストは気にせず1本1本をしっかり走り切りましょう。
1500m5分00秒の人でしたら、200m40秒、400m80秒ペースといった具合です。
必要期間
この練習はこの後に続く練習のための繋ぎの期間ですので、
約1ヶ月ほどで切り上げていただいてOKです。
後々にいきるスピードの筋繊維を作り上げてください。
④インターバルで最大酸素摂取量の強化
基礎のジョグ、強化ジョグ、スピードの回路と積み上げてきて、やっとここからインターバルトレーニングの出番です。
いきなりここから開始する人と比べ、ペースも余裕度も格段と差がついていることでしょう。
基礎の上にこういったものを積み上げていくのが期分けの考え方です。
〈インターバルについて詳しくはこちらで説明しています。〉
インターバルの実践レベルでの本物の使い方とは①
ペース設定
基本的に5000mの自己ベストから算出した1000mごとの平均ラップペースで行います。
・5000m15分00秒の人でしたら、1000m3分00秒、400m72秒ペース
・5000m20分00秒の人でしたら、1000m4分00秒、400m96秒ペース
といった具合です。
1本1本の間のレストにより幾分ペースの調整をされると尚良いです。
〈インターバルの基本的な種類についてはこちらを参照ください〉
マラソンランナーにおけるインターバルの種類と目的について!!
必要期間
1ヶ月~2ヶ月ほど取ってあげます。
長ければ長いほど良いって訳ではなく、
約半年後のレースを想定した場合、基礎から積み上げてきた方にとって、こちらの練習を1.2ヶ月ほどこなした段階で、ピークを迎えます。
その時がレースに出る格好の時期ですので、ピークを過ぎてもダラダラやり続けるのは理想ではありません。
⑤速く長く走るペース走により総合力の強化
今までは、ジョグの強化、スピードの強化、最大酸素摂取量の強化と単体で鍛え上げてきました。
それらの要素を結びつけるために、最後の仕上げとして、速く長く走るペース走を行ってあげます。
あらゆる面が1つに結びついた時、大きな力を発揮します。
逆に言えば、あらゆる面を単体で鍛えただけで、この最後の総合力を鍛えあげていなければ無駄になるとも言えます。
〈ペース走に関して詳しくはこちらを参照ください〉
ランナーのためのペース走の本物の使い方とは①
ペース設定
こちらも5000mの自己ベストを基準に考えます。
5000mの自己ベストから算出した1000mの平均ラップタイムに+15秒~20秒してあげたタイムが理想です。
・5000m15分00秒の人でしたら、1000m3分15秒~20秒ペース
・5000m20分00秒の人でしたら、1000m4分15秒~20秒ペース
といった具合です。
基本的な距離は8000mを基準にします。
12000m、16000mと距離を伸ばしたい場合は、距離が4キロ増えるごとにタイムを5秒ほど遅くしてあげると、おおよそ同じ強度での練習となります。
必要期間
1~2ヶ月ほど取ってあげます
レースに直結する部分ですのでこの期間はきちんとこなしていただきたいと思います。
長距離の本質は、速く長く走ることですので、
短く速い練習、長くゆっくりの練習だけで終わってはダメです。
それらを組み合わせ、最終的に速く長く走る練習で仕上げてこそ完成です。
⑥調整
目標レースで自己ベストの更新を目指すべき6ヶ月前後の期間をかけてこれまで色々な面を積み上げてきました。
かなりの疲労がたまっていることかと思います。
最後にこの疲労を上手く抜いてあげなければなりません。
しかし、抜きすぎると体力の低下にも影響してきます。
調整に関しては、各々自分に合ったやり方を見つけるのが1番です。
人の真似では上手くいかないポイントでもあります。
調整のヒント
しかし、1点だけ調整のヒントを差し上げます。
調整と言うものは、積み上げた体力をキープしたまま疲労を抜くということです。
休みすぎると体力が落ちます、そのまま練習を継続していくと疲れが残ります
体力を落とさず疲労を抜くためには、
質を落とさず量を落とす!
ということがとても大切になります。
例えば
・直近まで1000m5本していた人でしたら、1000m3本に距離を落とす。
質の変化はありません。
・400m12本していた人でしたら400m8本に落とす。
質の変化はありません。
このように質を落とさず量で調整していくことが大切です。
このことは物凄く大切ですので必ず頭に入れておいてください。
今回の期分けの流れを含めたサブスリー目標のための実践編としてこちらに記載しました。サブスリーを目指されてる方はぜひ参考にしてみてください。
また、50歳女性でもサブスリーを達成できた流れに関してはこちらを参考にしてください。凄く勇気が出ると思います。
今回お話しした期分けという概念は長距離スポーツでは凄く大切なことです。
そのため、こういった概念があるんだよ!闇雲に練習していては頭打ちも早まるんだよ!ということを頭の片隅でも良いので入れていただけたらなと思います。
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